こんにちは。

今日はイオンクロマトグラフィーについて
お話しようと思います。

<システム>

イオンクロマトグラフィーのシステムは
様々なメーカーから売られています。

いずれのメーカーのシステムにおいても
イオンクロマトグラフィーシステム=専用機
といった印象を受けますが、
「専用機」にしてしまうのは非常にもったいないです。

イオンクロマトグラフィーが
一般的なHPLCと異なる点というと

・イナート(金属不使用)タイプの接液部を推奨
・必要に応じてサプレッサーを使用する
・電気伝導度検出器を使用する

くらいです。

サプレッサーや電気伝導度検出器は
必要になりますが、これらは脱着が可能です。

なので、普段は別のHPLC測定を行っていたとしても、
これらを接続すれば、それは
「イオンクロマトグラフィーシステム」
になるのです。

とはいえ、主要メーカーは、各社とも
専用機としての提供が多いようです。





・Thermo Fisher Scientific
Dionex ICS-5000を筆頭に、高いシェアをもつイオンクロメーカー。
連続使用が可能なサプレッサーにより、安定した測定が可能。
一台でアニオンもカチオンも測定も切り替えて測定可能。
カラム・アプリケーションも豊富。
溶離液ジェネレーターによる移動相の自動生成機能も搭載。


・メトローム
930シリーズと940シリーズのラインアップ。
古くからイオンクロマトを取り扱っている。
3流路パラレルにケミカルサプレッサーが接続されており、
①サプレッション→②再生→③洗浄→①サプレッション
のようにローテーションさせて使用する。
一台でアニオンもカチオンも測定も切り替えて測定可能。


・東ソー
IC-2010モデル
一分析ごとにサプレッサー内のゲルを自動交換
一台でアニオンもカチオンも測定も切り替えて測定可能。
同時測定も可能。
試料の自動希釈機能も搭載している。


・島津製作所
HIC-SP サプレッサイオンクロマトグラフ
カラムタイプのサプレッサカートリッジを使用。
分析中に電気化学的に自動再生。再生液は不要。


<サプレッサ(法)>


話が前後してしまいましたが、
サプレッサについて説明します。

サプレッサは一言でいえば、
「バックグラウンドを下げ、ピーク強度を上げる」
ものです。

サプレッサは
カラムの下流、検出器の上流
に接続します。

イオンは、それぞれ異なる電気伝導度を持っており、
溶液中の全てのイオン成分の
電気伝導度の絶対値の総計が
バックグラウンドの電気伝導度になります。

例えば、陰イオンを測定する場合、
炭酸ナトリウムや水酸化カリウムといった
移動相を用い、電気伝導度で検出を行います。

この移動相に入っている
ナトリウムイオンやカリウムイオン、
あるいは炭酸イオンや水酸化物イオン
の全てがバックグラウンドになってしまいます。

バックグラウンドが高くなってしまうと、
目的とするイオンが埋もれてしまい、
高感度に測定することができなくなってしまいます。

そこで活躍するのがサプレッサです。

サプレッサは、移動相中のナトリウムやカリウム等の陽イオンを、
水素イオンに交換することができます。

これにより、
移動相では、ナトリウムイオン+炭酸イオン
全てバックグラウンドになっていたものが、
水素イオン+炭酸イオンに変換されます。

ナトリウムイオン+炭酸イオン
では
ほぼすべてが解離するため、
全イオン分だけ電気伝導度が高い状態になっていました。

一方、水素イオン+炭酸イオンでは殆ど解離せず
イオン状態ではなくなり、結果電気伝導度は非常に低くなります。

さらに、試料のピーク強度に関して言えば、
ナトリウム+陰イオンの状態に比べて
水素イオン+陰イオンの状態になることで
電気伝導度が飛躍的に大きくなります。


例えば
ナトリウムイオンのモル電気伝導度は50 S・m2/mol 
水素イオンのモル電気伝導度は350S・m2/mol
塩化物イオンのモル電気伝導度は76S・m2/mol
ですので

塩化ナトリウムの状態 50+76=126
から
塩酸の状態 350+76=426
になると、電気伝導度は3倍以上になります。

陰イオン検出といっても、周りには陽イオン(H+)
が存在する形で検出されますので、
陰イオンのモル電気伝導度+陽イオンのモル電気伝導度
が実際に検出される信号値になります。


以上、サプレッサを用いると、
・バックグラウンドが下がり
・目的成分の感度が上がる
ということ、お分かりいただけましたでしょうか?

<ノンサプレッサ(法)>

前述のサプレッサーを使用しない方法は
ノンサプレッサ法と呼ばれています。
試料中目的成分の濃度が濃い(ppmオーダー)場合に
採用されることがあります。

文字通り、サプレッサを使用しないので
カラムによる分離後、すぐに検出器に接続します。

サプレッサ法とノンサプレッサ法では
移動相も変わってきます。

サプレッサ法は、移動相中のバックグラウンド成分である
ナトリウムイオンやカリウムイオンが
水素イオンに変換されるため、
比較的濃い(と言ってもmM オーダー)移動相を
使用することができます。

一方、ノンサプレッサ法は移動相の電気伝導度が
そのままバックグラウンドになるため、
もともと電気伝導度の低い塩を移動相として
選択する必要があります。

フタル酸塩などがその代表例です。


以上、まとめです。

サプレッサ法
・サプレッサの種類選択
・高感度(ppb オーダー)
・移動相の選択肢多い


ノンサプレッサ法
・通常のHPLCに似たシステム
・ppmオーダー
・移動相が限定される
・目的成分濃度が高い場合に有効


最後まで読んでいただきありがとうございました。