こんにちは。

今日は、先日行われたJASIS2017にて行われた
日本薬局方セミナーの概要について
ご紹介します。



<第
17改正後第一追補理化学試験法関連>

17改正第一追補については
パブリックコメントの募集が終了し、
平成299月の告示予定となっているそうです。


主な変更点としては、

    不純物の化学名、構造式を各条の末尾に収載

    不純物の標準品の設定希望があれば容認
(メーカーが希望であれば)

    原薬の製法が異なり、同一規格での管理が不都合な場合、
  類縁物質試験に第二法の設定を認める
(希望があれば)

 

また、日局17第一追補以後収載品に関して、
HPLCカラム情報を開示するようになります。

新規収載品目の規格設定時に使用したカラム情報を
パブコメ時にPMDAのホームページ上に公開します。


ちなみにPMDAとは、独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
のことです。

さて、17改正第一追補における一般試験法の変更点について

HPLC関連を抜粋して紹介します。

 

●2.24 紫外可視吸光度測定法

水銀条約(水俣条約)関連の修正:
 水銀関係の記述が消去されました。

医薬品各条の削除:
 マーキュロクロム、マーキュロクロム液


残っているもの:
 水銀温度計、水銀塩化銀電極、
 水銀標準液、塩化水銀 など。


●9.01 標準品

新規収載品としては、

・インスリンアスパルト標準品

・エンタカポン標準品

・システム適合性試験用エンタカポン類縁物質A標準品

第一追補では不純物標準品が初めて一つ収載されました。


・確認試験用サッカリンナトリウム標準品

サッカリンナトリウムのKBr法による
赤外スペクトル測定において、
参照スペクトルが安定して得られないという
問題が生じたため、確認試験用の標準品を設定しました。


・ゾニサミド標準品

・パズフロキサシンメシル酸塩標準品

・ピリドキサールリン酸エステル標準品

・ブドウ糖標準品

 

<理化学試験法の国際調和中の試験法>

●Chromatography
→Stage4
へ進み、7/3から10/2までの3か月間
PDGパブコメで意見募集中
参照:https://www.pmda.go.jp/files/000218550.pdf


PDG
は、2009年のQ4Bからの提案を受けて、
Chromatography 
を最優先のprogram に加えています。

 

PDG・・・日米欧三薬局方検討会議(Pharmacopoeial Discussion Group)

 

 

<Chromatography Stage4案の趣旨等について>

調和試験法の適用対象(予定)

本調和試験法は、新規収載品目から適用する予定で、
既収載の日局医薬品各条を修正することは想定していません。

すでに承認申請時に用いられる従来の
クロマトグラフィーの記載も適用可能となるように、
既存のクロマトグラフィー関連試験法を共存させる予定です。

また、生薬の試験法には適用しません。

 

類縁物質試験におけるシステム適合性

面積百分率法のみによる試験では、
面積比で表すため、システムの再現性の規定は
不要であることを追記します。

類縁物質の標準ピークとの比較による限度試験では、
システムの再現性の規定が必要であることを追記します。


クロマトグラフィー条件の調整の項

日局は薄層クロマトグラフィー、
超臨界クロマトグラフィーに関しては収載しません。

 

G20 クロマトグラフィー Stage4 仮訳>

クロマトグラフィーの分離技術は多段階分離であり、
試料の組成成分は固定相と移動相の2相間に分配されます。

固定相は、固体、又は固体やゲルに支持された液体です。
固定はカラムに充塡されたり、層状に塗布されたり、
あるいは膜などとして配置されます。

移動相は、ガス、液体、又は超臨界流体です。

分離は吸着、質量分布(分配)、
イオン交換などに基づき、又、大きさ、質量、
体積等の分子の物理化学的特性の違い
によって行われます。


本章では、
カラムのパラメーターの定義と計算方法
及び
一般に適用できるシステム適合性の必要条件
を記載します。

分離の原理、装置、測定方法は、対応する一般試験法に記載する。

 

SN比(15局第二追補で既収載一部改変)>

短い時間間隔で生じるノイズは、
定量の精度に影響します。
SN
比は次の式を用いて計算されます。


S/N=2H/h

 

H=標準試料で得られたクロマトグラム中の
対象成分のピーク高さ。

ピークの頂点からピーク高さの中点における
ピーク幅の20倍に相当する範囲で測定し
外挿されたピークの基線までの高さ。


h=
ブランクを注入後に得られたノイズ幅

 

溶媒や試薬、移動相、試料マトリックスに
由来するピークの影響で、ピークの高さの中点における
ピーク幅の20倍に相当する範囲での基線が得られない場合は、
ピークの高さの中点におけるピーク幅の少なくとも
5
に相当する範囲で基線を求めても良い。


USPに記載されています。

 

<システム適合性>

 

システムの再現性-有効成分または添加剤の定量

有効成分または添加剤の定量において、
原薬の純物質の目標含量が100で、
システムの再現性の要件が規定されていない場合には、
標準溶液の繰り返し注入(n=3~6)により算出される
最大許容相対標準偏差(%RSDmax 限度が定められてます。

ピークレスポンスの最大許容標準偏差は、
Table1 
の値を超えてはなりません。

 

Table1 システムの再現性における必要条件(定量)

 

注入回数 n

 

3

4

5

6

B(パーセント)

最大許容相対標準偏差

2

0.41

0.59

0.73

0.85

2.5

0.52

0.74

0.92

1.06

3

0.62

0.89

1.10

1.27

B=(医薬品各条中の含量規格の上限-100%

 

<感度>

感度は、検出器に導入される移動相中の
物質単位濃度あたりのシグナル出力です。

類縁物質の試験においては、
感度を表すためにシグナルノイズ比が用いられます。

別に規定するもののほか、報告の閾値において、
SN
比は10以上あることが必要です。

 

ピークの対称性>

別に規定するもののほか、
定量に用いるピークのシンメトリー係数は
0.8
1.8です。

 

現行日局では、1.5あるいは2.0の規定が多い。

別に規定するもののほか、EPでは、
医薬品各条には記載しないが、
日局では医薬品各条に数値を記載する予定となっています。


 
<クロマトグラフィー条件の調整>

以下追加箇所を記載します。

グラジエント溶離における試験条件の調整は、
イソクラティック溶離における試験条件の調整より難しい。
なぜならばグラジエントのステップを変更することにより、
ピーク位置が変わる可能性があり、
ピークの同定の間違いやピークの見落とし、
規定された溶出時間を超えたピーク位置の移動が
起こるようになる。
重要なパラメーターに関しては、
システム適合性を確保するための調整方法を、
医薬品各条において明確に定義する。


 

イソクラティック溶離

カラムパラメーターと流量

固定相

固定相の物理化学的特性の変更は許されない。
クロマトグラフィー担体、表面修飾、化学修飾の
程度は同じでなければならない。
これらの要件に適合すれば、
全多孔性粒子カラムから表面多孔性粒子カラム(Core shell) へ変更
することができる。

 

カラムの大きさ

カラムの粒子径、長さはカラムの長さ(L) 
粒子径
(dp)の比が一定のまま又は規定された
L/dpの比率の-25%から+50%の間の範囲に
変更することができる。

表面多孔性粒子の粒子径を調整する場合は、
理論段数
(N)が規定されたカラムの
-25%から+50%の間にあれば、
ほかの
Ldpの組み合わせも使用できる。


システム適合性の基準が満たされ、
管理することが規定された不純物の選択性と
溶出順が同じであることが示されれば、
これらの変更は認められる。


イソクラティック分離において、
粒子径を
3μm 以上から3μm未満へ変更するとき、
カラム効率が
20%を上回ってカラム効率が低下しないならば、
線速度を更に増加させることが認められる。


同様に、粒子径を
3μm 未満から3μm以上に変更するとき、
20%を上回ってのカラムの効率の低下を避けるために、
線速度を更に減少させる必要がある。

カラムの大きさの変更による調整後、
さらに流量の
±50%の変更が許容される。


 

クロマトグラフィー条件の調整:日局独自の問題点

イソクラティック流量の設定

保持時間ではなく、流量に変更する必要がある。
現行の医薬品各条では流量の記載がないので、
条件の調整が難しい。

 

類縁物質の溶出順が同じことを確認する場合

標準品である必要はないか?
EPの回答:標準品でなくても構わない。

解決策:ある程度の類縁物質ピークが見える原薬を使用し、
類縁物質のクロマトグラムの類似性を確認することで良いか?

他局や試薬として標準物質がある場合は使用可能とするか?

 

グラジエント溶離

試験法設定時のDwell volume を医薬品各条に記載するか?

 

クロマトグラフィーの国際調和に伴う日局各条の着地点

基本的には従来の日局の記載ぶり、
国際調和に基づく記載も可能としたい。

 
有効成分又は添加剤の定量におけるシステムの再現性:
・規格上限値によって、要求されるRSD値が異なる表の使用可能
・従来、日局は1%を全てで採用してきた。
どちらも採用可能。

純度試験(類縁物質)

検出の確認
・報告の閾値においてS/N10以上であることの規定の適用可能

システムの性能
第一追補~:分離度の規定に類縁物質標準品の設定が可能となった。
・別に規定するもののほか、シンメトリー係数は0.8~1.8
・日局では1.5あるいは2.0が多い。この場合別に規定することおもできる。

システムの再現性
・面積百分率の場合は規定することが不要と明記する。
・標準溶液と比較する限度試験では、今まで通り設定が必要。


その①は以上です。
参考になれば幸いです。