こんにちは。


今日は

SMTSelenocysteine Methyltransferase Arabidopsis
及び Brassica juncea に過剰発現し、
Se に対する耐性と蓄積の増加を研究した例

についてご紹介します。

Se(セレン) は、 DMSe (ジメチルセレナイド)
及び DMDSe (ジメチルジセレナイド)という、
無機形態と比較して
500 ~ 600 倍毒性の少ない
揮発形態に変化させることで、
Phytovolatilization によって除去できる特殊な微量元素です。

これによって
Se は大気中に放出され、
地上の生態系から除去することができます。

SMT
は、下図のように、SeCys をノンプロテインアミノ酸である
MetSeCys へとメチル化する酵素です。
MetSeCys はその後、DMDSe に変化され、大気中に放出されます。
論文4 Fig1


この研究では
Se Hyperaccumulator である
Astragalus bisulcatus から SMT をコードした遺伝子を
Arabidopsis 及び Brassica juncea に過剰発現し、
Se に対する耐性と蓄積の増加を調査しています。

下図は、SMT 遺伝子を導入した時の
ArabidopsisA)及び Brassica juncea B)の
Se 耐性を示しています。

論文4 Fig2


Arabidopsis は処理した時の値を参照値の平均で割った相対値、
Brassica juncea は実際の値で表しています。

WT Arabidopsis は、亜セレン酸及び SeCys で生育した時に
著しく湿重量及び根長が減少しています。

しかし、
SMT Arabidopsis の湿重量は最大で
24%しか減少していません。

また、亜セレン酸で処理した時の
SMT  Arabidopsis の根長は
最大で
59%も減少しましたが、
SeCysで処理した時は10%しか減少しませんでした。

一方
 Brassica juncea は、セレン酸, 亜セレン酸, SeMet 及び SeCys の、
どの処理においても湿重量と根長が減少しました。

どちらの
SMT Brassica juncea ラインもWTと比較して
亜セレン酸処理に対してよく耐え、
特に
Bj3 - 11 ラインは湿重量、根長共に
参照値とあまり違いがありませんでした。

反対に
Bj5 - 13 ラインはどちらの値も
参照値から
70 %減少しました。

また、
SMT Brassica juncea WT と比較して
セレン酸に対してもよく耐えていることがわかります。

下図
は、Arabidopsis 及び Brassica juncea による
Se の蓄積量を示しています。
論文4 Fig3


A 25 μM のセレン酸で処理した時の Arabidopsis 苗、
B 200 μM のセレン酸で処理した時の Brassica juncea 苗、
C 100 μM の亜セレン酸で処理した時の Brassica juncea 苗、
D 50 μM の亜セレン酸で処理した時の Brassica Juncea 成熟植物の
Se 濃度をそれぞれ示しています。

この図から、どの場合も
WT と比較して
SMT
遺伝子導入植物の濃度の方が高いことが分かります。

ちなみに
B の場合、SMT WT 2 ~ 4 倍、
D の場合は 2 倍以上の Se を蓄積しています。

最後に下図
Arabidopsis 及び Brassica juncea による
Se の揮発量を示します。
論文4 Fig4

Arabidopsis SeCys で処理した時、WT 1.5 倍の Se を揮発し、
Brassica juncea は亜セレン酸で処理した時、
WT 2.5 倍の Se を揮発しました。

これは、
SMT によって DMDSe の前駆物質である
MetSeCys の濃度が増加したことが原因と考えられます。


<参考文献>

1)Danika L. LeDuc, Alice S. Tarun, Maria Montes-Bayon, Juris Meija, Michele F Malit, Carol P. Wu, Manal Abdelsamie, Chin-Yuan Ciang, Abderrhamane Tagmount, Mark deSouza, Bernhard Neuhierl, August Bock, Joseph Caruso, and Norman Terry, Plant Physiology, 135, 377-383(2004)