こんにちは。

今日は、西洋カラシナを用いた セレンのPhytoremediation の研究の概要
についてご紹介します。


マメ科のゲンゲ, シロイヌナズナ及びアブラナなどは、
蓄積あるいは揮発する能力によりセレン(Se)を抽出できる植物として
知られています。

中でもアブラナ科の西洋カラシナ(Brassica juncea)は
広いバイオマス、早い生長サイクル、
そして 1000 mg Se / kg という高い
Se
蓄積能力を理由によく調査されています。

Se は、摂取しすぎても不足しても
人体に影響を与える必須微量栄養素です。

Se はその適性範囲が狭いことから
よく研究の対象とされており、
具体的には 0.03 ~ 0.1 mg / day
が摂取の適性範囲とされています。

しかし 0.01 mg / day 以下では欠乏症、
0.2 mg / day 以上では中毒を引き起こすとされています。

これまでに知られている Se 欠乏症は、
中国の黒竜江省における克山病であり、
心筋障害を特徴とし、
小児や妊娠可能期の女性に多く発症します。

そしてシベリア東部, 朝鮮半島北部及び
中国東北地区にみられるカシン・ベック病は、
関節と骨の変形, はれを主症状とします。

一方、Se 中毒としては、
ヒトにおける事例は少ないものの、
アメリカのネブラスカ州をはじめとする
グレートプレイン地方でかつて多発した
アルカリ病及び暈倒病があります。

いずれも致死性の中毒症であり、
慢性セレン中毒の一種であるアルカリ病は
成長阻害や体毛の脱落などを特徴とします。

また暈倒病は急性セレン中毒の一種で、
異常歩行動作や下痢などを特徴としています。



このように 土壌中の Se 濃度は
人体の健康との関係が深いことから、
近年では土壌汚染問題の原因としても注目されています。

西洋カラシナを用いたSe Phytoremediation 技術の向上は、
そういった問題を解決できる方法として注目され、
実用化に向けて様々な研究が行なわれています。

 

S 及び Se の吸収・代謝>

 SO42- は、植物に吸収されると ATP Sulfurylase
酵素としてアデノシン三リン酸(以下ATP)と反応し、
アデノシン 5´-ホスホ硫酸(以下APS)とピロリン酸を生成します。

その後 APS SO32- を経由して H2S に還元され、
システイン(以下Cys)となってたんぱく質に取り込まれます。

Se S と同族で、性質がよく似ていることから、
この S 代謝経路に入り込むことが可能です。

SeO42- SO42- が植物に吸収された時と同様に、
APSe, SeO32-, Se2- そして SeCys の順に代謝されていきます。

 硫酸イオンとATP


<参考文献>

1)Yhomas Leustek and Kazuki Saito, Plant Physiology, 120, 637-643(1999)