こんにちは。

今日は、天然の植物の Phytoremediation への利用性を研究した例
についてご紹介します。

さて、天然の植物は、環境ストレス下での生存生長、再生産の点で
他の環境から移植された植物と比較して有利と考えられています。

そのため、
Phytoremediation に天然の植物を用いることは重要です。

しかし現在では、現場条件における
天然植物の
 Phytoremediation への潜在能力を
見積もった研究は多くありません。

そこで、今回は、汚染されたフロリダのジャクソンビル地域で育った
36 種の植物を対象に、Pb, Cu 及び Zn の蓄積について調査しました。

<鉛(Pb)について>

1はジャクソンビル地域における
土壌及び植物サンプル中の
 Pb 濃度です。

表1
論文1 Table1


根への蓄積は
 Phyla nodiflora 1183 mg / kgを最大値として
Gentiana pennelliana  968 mg / kg
Bidens alba 
 947 mg / kg と続きます。

地上部では、
G. pennelliana  491 mg / kg が最大値を示しました。

これより、どの植物も地上部に
 Hypersccumulator の基準値である
1000 mg / kg 以上の Pb を蓄積しなかったことがわかります。

サンプルの
 95 %において根中の Pb 濃度が
地上部の濃度と比較して高いことから、
Pb は根から地上部への移動性が低く、
根からほとんど動かないということがわかりました。


<銅(Cu)について>

表2
に、同地域における土壌及び植物サンプル中の Cu 濃度を示します。

表2
論文1 Table2



根への蓄積の最大値は
 P. nodiflora  460 mg / kg であり、
G. pennelliana (432 mg / kg) 及び B. alba (400 mg / kg) 
それに続きます。

地上部における最大値は、
Paspalum notatum  352 mg / kg であり、
これまた
1000 mg / kg  Cu を地上部に蓄積する植物はありまでんでした。

<亜鉛(Zn)について>

最後に表
 3 は同地域における土壌及び植物サンプル中の Zn 濃度です。

表3
論文1 Table3


根への蓄積の最大値は
 Pb, Cu と同様に
P. nodiflora  598 mg / kg であり、
G. pennelliana 524 mg / kg),
Stenotaphrum secundatum
516 mg / kg
がそれに続きます。

地上部における濃度は、
 P. nodiflora 453 mg / kg が最大であり、
Zn においても 1000 mg / kg 以上蓄積している植物はありませんでした。

以上より、調査した 36 種の植物の中で
P. nodiflora が根中に最も高濃度の Pb, Cu 及び Zn を蓄積していました。

それに加え
G. pennelliana, Bidens alba もまた他の植物と比較して、
高濃度の
 Pb, Cu 及び Zn を蓄積していました。

残念ながらどの植物も地上部における金属濃度が
 
1000 mg / kg 
以下でした。

しかしこれらの植物の金属への耐性
蓄積の能力は 
Phytostabilization 
においては有効であるかもしれないと考え、
生物濃縮因子(
BCF:根中金属濃度/土壌の金属濃度)及び
移動因子(
TF:地上部の金属濃度/根中の金属濃度)を算出し、
Phytoremediation の潜在能力を見積もりました。

これらの値は、
1.0 以下であった時には 
Phytoextraction 
には不適合とし、
BCF が高く、TF が低いものはPhytostabilization には
有効であると考えました。

表4
は選択した植物の Pb, Cu 及び Zn  BCF, TF を示しています。

表4
論文1 Table4

G. pennelliana  Pb においては最も高い BCF(=11)でしたが、
植物の全
 Pb 濃度は 1000 mg / kg 以下でした。

P. nodiflora は最も高濃度に Pb を蓄積しましたが、
BCF  1.0 以下でした。

Cu については R.fruticosus  BCF, TF 共に1.0 以上でしたが、
採取地点の土壌の
 Cu 濃度が 29 mg / kg と相対的に低くなりました。

Zn 濃度が最も高かったのは P. nodiflora の根でしたが、
BCF  1.0 を上回ったのは G. pennelliana(2.6),
 Sesbania herbacea(1.5) のみでし
た。

また表中では
 6 種の植物が 1.0 以上の TF を示し、
中でも
P. nodiflora  6.3 で最も高い値を示しました。

<まとめ>

今回調査した
 36 種の植物はどれも 
Hyperaccumulator 
ではありませんでしたが、
いくつかの植物が
1.0 以上の BCF, TF を示し、
特に
 G. pennelliana はその中では最も
Phytoextraction に有効であると考えられました。

 


参考文献

1)Joonki Yoon, Xinde Cao, Qixing Zhou, Lena Q. Ma, Science of the Total Environment, 368, 456-464(2006)