こんにちは。

今日は、Phytoremediation 実験時に使用した
カドミウム(Cd), 鉛(Pb), 亜鉛(Zn), 銅(Cu) の
毒性についてお話します。

<カドミウムの毒性>


カドミウムによる人への健康被害としては、
1970 年代に富山県神通川流域で発生した
「イタイイタイ病」が良く知られています。

カドミウムは亜鉛と同族元素で原子構造や化学的性質は似ていますが、
生体に対する作用はかなり異なります。

例えば、亜鉛は多量に摂取すると体内調節が働き、
体内濃度が高まると吸収を低下させ排出を促進して
体内濃度が一定に戻る作用(ホメオスタシス)が働きますが、

カドミウムは体内に一旦吸収されると
肝臓や腎臓に蓄積され、排出されにくい性質があります。

しかし、亜鉛をあらかじめ投与しておくと
メタロチオネインが誘導的に生合成され、
カドミウムの化学作用を抑制するため、
カドミウムの毒性は緩和れます。

日本におけるカドミウム摂取源のほとんどが
米からであると考えられています。

日本における玄米の基準は
1 ppm 未満ですが、
国連食糧農業機構(
FAO)や世界保健機構(WHO)では
米などについて
0.1 ppm を基準とすることが検討されています。

カドミウムは、イカなどの軟体動物及びカニ、エビなどの
甲殻類の内臓に高濃度に含まれているます
(7.35 ppm)

1.0 ppm を基準とした場合、体重 50 kg の人が
一日に摂取できるカドミウムの摂取量は
50 μg です。

1 日に 30 μg 摂取すると約 1% の人に腎障害が発生し、
50  μg では数%の人に発生すると言われていることから、
甲殻類をよく食べる日本人の数
%が腎障害を起こしても不思議ではありません。
 

<鉛の毒性>


鉛による人体への影響として最初に挙げられる例は、
古代ローマの貴族たちが鉛製のコップでワインを飲むのを好んだことによる
鉛中毒です。

現在の鉛汚染の最大の原因は自動車排ガスであり、
その他鉱山排水、殺虫剤などが挙げられます。

しかし今日では
、1975 年に有鉛ガソリンの使用が
禁止されるようになったことから排出は減少しています。

とはいえ、道路周辺の土壌表層の鉛濃度は高いままです。

これより、人体への鉛摂取は自動車排ガスが起因ではないかと
関心を集めていましたが、実際には人体の鉛の半分以上が
食品による経口摂取によるものです。

鉛は人体の全ての臓器や組織に存在し、
一人当たり
78 ~ 131  μg です。

正常人では骨に最も多く存在し、
90% を占めています。

特に石灰化組織に沈着しやすく、
アパタイト中のカルシウムと置換して存在します。

血中鉛濃度の正常上限値は
40  μg / dl
職業的曝露において許容されうる範囲は
40 ~ 60  μg / dl とされています。

正常な成人は職業的ないし特殊の鉛曝露がない人でも
食物や水から経口的に一日平均
300  μg
大気から経気道的に
30  μg、計 330  μg の鉛を
摂取していると計算されます。

鉛は急性毒性としては比較的低い毒性で
致死量は可溶性塩
10 ~ 15 g ですが、
持続的に摂取することによって慢性毒性が起こります。

鉛の慢性中毒による胃腸管症状は、
鉛が胃腸管の平滑筋に作用して食欲不振、
腹部不快感、便秘、腹痛などが起こります。

また、末梢神経症状は神経筋症状、
手首の伸筋麻痺による下垂手や末梢神経伝導速度の軽度遅延などがあります。

さらに、血液学的影響は、
溶血性貧血及びヘム合成への障害に大別されます。

 

 

 <銅の毒性>

人による銅の摂取量は 2 ~ 5 mg / day であり、
食品や水などから経口的に摂取されます。

銅を多く含む食品としては
貝類・甲殻類(特に牡蠣に多い)、
レバー、ココア、ゴマ、ナッツ、種子、プルーン、内臓肉、
豆類、未精製の穀類及びきのこ類などが挙げられます。

は欠乏しても過剰に摂取しても人体への障害を及ぼします。

遺伝性疾患の銅欠乏症としては、
先天性の腸管吸収障害と言われるメンケス病があります。

この病気は腸管で吸収された銅の血中への放出が阻害され、
血中濃度が低くなります。

症状としては重度の精神遅滞、まばら・硬い・あるいは
縮れた毛髪などが挙げられます。

また、先天性銅代謝異常として良く知られているものに
ウィルソン病があります。

この病気は肝での銅代謝異常で銅の胆汁への排泄が低下し、
体内に銅が沈着する疾患です。

さらに、銅酵素の
1 つであるセルロプラスミンは
鉄の代謝に関与し、
2 価の鉄を 3 価の鉄にする機能があります。

そのため、鉄の不足ではなく、銅の不足のために
鉄欠乏性貧血に似た貧血を起こすことが知られています。

 

<亜鉛の毒性>

亜鉛が動植物的に必須であることは古くから知られています。

必要摂取量としては
8 ~ 10 mg / day が推奨されていますが、
過剰摂取や欠乏は人体への障害を起こします。

亜鉛を多く含む食品としては牡蠣、牛肉、レバー、
納豆、アーモンドなどが挙げられます。

欠乏症としては食欲不振、成長の遅れ、性的成熟の遅れ、
性腺機能低下症と低精子、脱毛症、免疫障害、皮膚炎、
味覚障害などがあります。

また過剰症は、通常亜鉛メッキ容器に入った酸性の食べ物や
飲料を摂取することによって起こり、嘔吐や下痢を引き起こします。

さらに、
100 ~ 150 mg / day の亜鉛摂取により、
銅の代謝が阻害され、低銅症、
RBC小赤血球症及び
好中球減少症を引き起こします。

亜鉛は過剰、欠乏の両方に関心がもたれていますが、
欠乏における毒性が少なく、また、
カドミウムと違ってホメオスタシスが働くために
動物体内であまり蓄積されることがないので問題は少ないです。



以上、4元素の毒性についてご紹介させて頂きました。

参考になりましたでしょうか?

最後まで読んでいただきありがとうございました。