こんにちは。

今日は
ICP-MSによる定量分析ってどうやるの?
というタイトルでお話していきたいと
思います。
ICP-MSによる定量といっても、
基本的な方法は他の定量用分析機器と同じです。

ただし、ICP-MSの場合は必ずといっていいほど
内標準物質を使った方法になります。

ICP-MSで使用する内標準物質(IS: Internal Standard)は
次の条件を満たす必要があります。


①分析対象の物質に含まれていない
(含まれていても、値に影響しない程度)

②分析対象とする物質(同位体含む)と原子量が同じにならない

③分析対象とする原子と原子量がかけ離れていない

(④トレーサビリティーがある標準溶液が手に入る)


私の研究室ではこの条件を満たしていた
インジウム(In)やレニウム(Re)
を使用していました。

この内標準溶液は、
検量線溶液、試料溶液に対して
一定濃度になるように添加します。

ちなみに絶対検量線法では、
検量線を作った後、
同じ試料を連続的に測定したとしても、
ICP-MSそのものの感度変化が起こると
定量値がずれてしまいます。

<絶対検量線法>
①検量線用試料
②未知試料1回目 目的元素のCPS: 100
③未知試料2回目 目的元素のCPS: 105
④未知試料3回目 目的元素のCPS: 107
⑤未知試料4回目 目的元素のCPS: 102
⑥未知試料5回目 目的元素のCPS: 98



n未知試料m回目 目的元素のCPS: 200

(CPS: Count Per Second, ICP-MS の感度(y軸))


このようなかたちで感度が上昇してしまうと、
同じ濃度の試料を測定しているのに
最後の測定では定量値が2倍になってしまいます。

一方、内標準法では、
<内標準法>
①検量線用試料
②未知試料1回目 目的元素のCPS: 100、IS のCPS: 100 目的元素/IS=1
③未知試料2回目 目的元素のCPS: 105、IS のCPS: 105 目的元素/IS=1
④未知試料3回目 目的元素のCPS: 107、IS のCPS: 107 目的元素/IS=1
⑤未知試料4回目 目的元素のCPS: 102、IS のCPS: 102 目的元素/IS=1
⑥未知試料5回目 目的元素のCPS: 98、IS のCPS: 98 目的元素/IS=1



n未知試料m回目 目的元素のCPS: 200、IS のCPS: 200 目的元素/IS=1

といった具合に、目的元素とISの比で計算することで
常に一定の値を得ることができます。

そう考えると
ICP-MSで使用する内標準物質(IS: Internal Standard)の条件として

⑤目的元素と同じ感度特性を持つ

も必要になってきます。
目的元素の感度が上昇傾向なのに、
ISは変化しない、あるいは下降傾向だと
内標準法は成り立たないですからね。


さて、つづいてはQC溶液について
説明します。


ICP-MSによる定量の際には必ず
QC溶液
という、
ざまざまな元素が一定量入っている溶液
を使用します。

このQC溶液は、
一定回数または一定時間おきに
未知試料の合間をぬって測定します。

最初に測定して得られた感度から
プラスマイナス10%以内であれば、
QC溶液間の測定は信頼できるものとしています。

例えば
①QC1 CPS: 100

②100 ppb x3回
③300 ppb x3回
④500 ppb x3回

⑤QC2 CPS: 98

⑥unknown1 x3回
⑦unknown2 x3回
⑧unknown3 x3回

⑨QC3 CPS: 95

⑩unknown4 x3回
⑪unknown5 x3回
⑫unknown6 x3回

⑬QC4 CPS: 92

⑭unknown7 x3回
⑮unknown8 x3回
⑯unknown9 x3回

⑰QC5 CPS: 89




となった場合、
QC4の前までが有効な値となります。
unknown7~unknown9は、
直後のQCが基準の10%から
外れているため有効な値とは言えません。

ICP-MSは
比較的気温や室温の影響によって感度が増減する装置のため、
室温が変化すると、測定値がドリフトしてしまいます。

大学ともなると、室温管理はかなり杜撰ですので、
影響大です。

例えば、朝から昼にかけて測定を行うと、
室温の上昇と共に感度は増加する方向に変化します。

一方、昼から夕方にかけて測定を行うと、
室温の下降と共に感度は減少する方向に変化します。

このQC溶液を基準としておくことで
測定値の信頼度を保つことができるのです。


お分かりいただけましたでしょうか。

今日はここまでにします。

最後まで読んでいただきありがとうございました。